Policy生徒との対談形式による「希望未来塾」の英語教育方針

(オレゴン州の国立公園で2022年)


西本はN、対談相手はQさんとRさん。Qさんは中学2年生の男子、Rさんは高校2年生で女子とします。QさんもRさんも想像上の生徒です。二人とも、ご両親から面白そうな塾ができたようだから、ちょっとどんな塾か先生に直接会って訊いてくるようにとアドバイスをされ、やって来ました。

N:Qさん、Rさん、こんにちは。ところで塾には通っているのですか?

Q:はい、英語と数学を勉強しています。

R:私は、最近まで通っていたのですが、今は休んでいます。

N:英語は好きですか?

Q:嫌いではありませんが、成績が伸びなくて困っています。文法が苦手です。
Are you a teacher? と習った後に、今度は新しい章に入って、Do you play soccer?なんかとやると、何でDo you a teacher? とか Are you play soccer? ではなぜいけないのか分からなくなってしまいます。学校と塾の先生は優しくて好きですが、「何度も練習問題をやって、自然に覚えるしかない」とどちらからも言われてしまいます。

N:先生たちの言っていることは間違いではありませんが、それでは、解決しないですよね。文法の説明を読んでも、文法が難しくなればなるほど混乱してしまう生徒がいますね。文法の参考書もいろいろな種類のものが出ていて、分かりやすいように絵や図を使って説明してあるのもあるのですが、余計難しく感じてしまう場合がありますね。

Q:どうすればいいんですか?

N:いろいろな文法で混線しないように、先ず自分に合う表現を一つだけ選ぶといいです。例えば、Qさんが本当にサッカーをしていて、弟さんもそう、だけどお父さんはサッカーはやらないのなら、play soccerを中心に、I play soccer. から始まってMy brother plays soccer. My brother and I play soccer. My father doesn’t play soccer.などと英語をパーソナライズして、自分の日常生活や好みに当てはめて何度も声を出して練習するといいですね。練習相手がいるともっといい。私の個別学習塾でも、こうした場合は次のようなQさんとの会話練習が考えられます。

 N: Do you play soccer, Q?
 Q: Yes, I do.
 N: Does your brother play soccer, too?
 Q: Yes, he does.
 N: What about your father? Does he play soccer?
 Q: No, he doesn’t. He plays tennis.

という具合です。もちろん最初からスムーズにできないでしょうから練習を重ねた上です。そして次に、Qさんが私に質問をして、上の例文を実際に合うように変えて練習します。例えば
Q: Do you play soccer, Mr. Nishimoto?
N: No, I don’t, but I like watching soccer on TV.などと続くわけです。

英語を話す練習を無視した受験勉強は味気なくてつまらなくなってしまうのではないでしょうか?教科書にも会話文がたくさん出てくるのですから、これを単に文法や単語の勉強だけにするのはもったいない。
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R:  先生の塾は英会話中心ですか?

N:いいえ、違います。生徒にもよりますが、毎回、会話そのものは5~10分ぐらいだと思います。英検二次試験対策のスピーキングの練習をする時などは、もっと長くなるでしょうが。希望未来塾はあくまでも高校や大学進学のための塾ですから、日常会話を中心に教えるのではありません。しかし、入試問題演習の場合も単に答えを選んで書くだけではなく、実際に問題と答を声に出して読むことが役に立つ場合があります。私の塾では、英会話力アップになるよう、学習内容を発展・展開し、話せるよう訓練します。

「・・・について、あなたの考えを英語で制限字数内にまとめて書きなさい」というような問題も英検や高校・大学入試問題に増えていますね。その種の問題に対する解答は、書くだけでなく英語で言える方がいいし、その練習もします。書くことと話すことが連動して、より正しく分かりやすい英語になるからです。しかし、声を出して読んだり、話したりする時間が長いと、なかなか先に進めないので、発音や会話はしないで、どんどんとスピーディに問題演習に取り組むこともあります。

N: ところでQさん、「私は昼食にチキンを食べるのが好きです」は、英語で何と言いますか?

Q:  I like eating a chicken for lunch.ですか?

N: I like eating a chicken for lunch. でも、a chickenのaを弱く発音すればあまりおかしくは聞こえないでしょうが、aをつけて書いた場合には「私はニワトリ一羽を(生で)食べるのが好きだ」という意味になってしまいます。文法的に正しい英語で書ける、また話せることが大切です。

R:私はアメリカで生まれ、中学3年生までアメリカで生活し、今、日本の高校で勉強していて、英語の授業が文法中心でつまらないと感じています。リーディングも日本語に訳すとか、カッコの中に入れる正しい単語を選びなさいとか、なぜか退屈してしまい、試験勉強もあまりする気がしないので成績は悪くはないのですが、5(A)にはなかなかなりません。

N:英語で何か言ってみて下さい。そうね、将来、大人になってから何をしたいか英語で言ってみて下さい。

R:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

N:さすがですね。すごく上手です。あなたの場合は、話すことは上手ですから、英会話は不必要でしょう。アメリカやイギリス、オーストラリアなどの英語圏からの帰国子女が多く、授業も英語の授業だけでなく、たとえば経済や国際関係論などを英語で進める授業が多くある大学に進学するといいでしょう。理系に進んでも、数学を英語で教えるようなところもあります。

文法や訳読中心で、そこから発展した面白い授業にならない。今の日本の学校教育ではなかなか難しい問題ですが、高校によってはあなたのような生徒も引き付ける内容で英語を教えているところもありますが。先ほど言ったような英語で授業をやるような大学は有名大学の場合が多いので、是非とも頑張って、そのような大学に入る力をつけるように努力しましょう。私が教えた大学でも英語で教える経済学の授業もありましたし、私は「異文化コミュニケーション」という授業を短大や大学で英語を中心に教え、学生には課題を英語で書かせたり口頭発表させたりしました。

大学の英語入試問題では内容が歴史や文化、社会問題など難しい内容の文章を理解する能力が求められますから、知的好奇心を旺盛にして幅広い知識を身につけましょう。出題される英文を無味乾燥に読むか、いろいろなことが知れて面白いと感じるかは、あなた自身と教える側の力量と努力によると思います。

R:文法を学ぶ意味が分かりません。

N:Rさんは文法が嫌いなようですが、文法は大切ですし、先生は面白く役に立つように教えるべきです。

私が、アメリカやオーストラリアのハイスクールや大学で勉強した時、宿題を提出すると文法的な間違いは厳しく直されましたよ。大学で教えるようになってからは、さまざまな国際会議に出ましたが、どこの国の出身者も独特な発音やなまりがあります。それにもかかわらず、学者の英語はどこの国の人のも分かりやすいのはなぜだと思いますか?文法がしっかりしているからです。「教育を受けた人の」英語は分かりやすいのです。文法があやふやで単語だけを並べればいいというのでは、信頼されません。

毎年、高校入試や大学入試の英語には意見を求められる問題が出ています。上手に書くには文法や語彙力、そして知識が必要です。

「ペットにするにはネコとイヌとでどちらがいいか」などという問題も高校や大学によっては出たことがあるかもしれませんが、ランクが上になるにつれてシリアスな問題になるようです。受験する高校や大学入試の問題として、「日本で、首相(prime minister)には女性の方が男性よりもふさわしいと思いますか、思いませんか。英語であなたの考えを書きなさい。」などというようなものが出るかもしれません。

数年前の東大の英語に「芸術は人生に必要か否か、英語でまとめなさい。」というのがありました。その東大の問題で、I don’t think art is important in life. I’m not interested in it. (人生に芸術は必要ではないと思います。芸術に関心はありません。)などと書き始めたら、あとの英語をどう続けて書けるでしょうか? このぐらいの長さでは合格ラインには届きません。

東大に限らず、多くの大学が遊びに来るような人ではなく、知的好奇心があり、勉学への意欲が高い学生を取りたいのです。英語入試という選抜手段で、大学の学問をこなす基礎力があるのかどうかがある程度分かるのです。

中学生のうちから世界の動きを知ることも重要です。新聞を読むとか、テレビで池上彰さん司会による世界事情の見事な解説を楽しめるようになるといいですね。そして受け身で知るだけでなく、自分はどう考えるかを英語で書いたり話したりする訓練が必要です。

Q:英語ができるようになる方法を教えて下さい。

R: 私も聞きたいわ。

N:一言では言えないけれど、ひとつだけ言いましょう。それでは、クイズです。今から、ある果物を英語で説明しますから、何であるか分かるでしょうか? Rさんは、すぐに分かるでしょうから黙っていて下さいね。

Large round fruit with thick green skin, red flesh, and black seeds

それでは、次にヒントとして単語だけ言います。

Fruit, thick green skin, red flesh, black seeds

まだ分からないですか? それでは、同じことをジェスチャーつきで言います。
・・・・・・・・・・・・ 

Q:分かりました。スイカ、watermelonです。

N: そうです。次は、Rさん向きかな? でもQさんも良く聞いていて下さい。

Q:Rさん、amphibious の意味は分かりますか?

R:分かりません。

N:それでは、今度はどうでしょう?

KABA BUS is a bus, but also a ship. This amphibious bus was
named after the “hippo,” a king of animals which lives both on
land and in the water.

R:「陸の上でも水の中でも」?

N:そう。だからamphibious busは「水陸両用バス」ですね。
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英語はイマジネーションで理解することが大切です。そのために、今やったような訓練が必要です。「日本語訳をしなさい」という問題では、日本語に訳す力が必要ですが、入試問題のリーディングすべてに、日本語の訳を考えていたら、制限時間をオーバーしてしまいます。時間内に余裕をもって終わらすには、分からない単語が出てきてもあわてずに、その意味を推測することが試験合格の秘訣です。

これは、中学生のQ君には少し、難し過ぎたでしょうから、先ほどの「水陸両用バス」に出てきた英語で、今日はせっかくだから、これだけはずっと忘れないという英語を覚えて帰りましょう。

先ほどのバスの名前はカバ・バスです。動物のカバは英語でhippopotamus で、短くしてhippoです。カバは英語でhippo ですが、分からなくてもバカではありません。live both on land and in the waterは「陸上でも水の中でも生活する(生きる)ことができる」です。それではQ君、カバは短い英語で? そうだね。それでは、カバのようには? 分からない? like a hippoだね。水の中は? そう、in water それでは、「ぼくはカバのように水の中では生きていけない(住めない)」は英語で何といったらいいでしょうか?「…できる」はcan「…できない」はcannot 短くするとcan’tだね。「ぼくは泳げる」なら、I can swim. 「泳げない」なら、I can’t swim. ですね。それでは、「ぼくはカバのように水の中では生きていけない(住めない)」は?

Q: I can’t live in water like a hippo.

N:  正解です。liveのvの発音に気をつけて。bの音にならないように、私の口を見て。誤解しないようにあと5回。

Q:____ ____ ____ ____ ____

N:はい、良くできました。

R:先生の塾はまだできたばかりで、本当に入りたい、いい大学に行けるのだろうかとの心配があります。

N:お気持ち、良く分かります。確かに私の塾はこれからオープンするわけですから、この塾の実績はゼロです。けれど、今までに長く英語を教えてきて、教え子の中から難関といわれる高校や大学に多くの合格者が出たという経験からすればゼロから始める塾ではありません。もちろん、私だけの手柄ではありませんが。

R:先生の塾では、成績のいい生徒たちだけを入れて、一流高校や大学を目指す生徒だけに教えるのですか?

Q:ぼくみたいに英語があまりできない生徒は入れないのですか?

N:Q君もRさんもとても賢そうですよ。そんなことはありません。今の英語の成績が悪いからといって入れない塾ではありません。どんな生徒さんでもやる気さえあればできるようにする自信がありますよ。できる人にはもっとできるようにしてみせます。難関高校や難関大学はありますが、一流とか二流はありません。どこに入っても、一流の人になろうとする気概が大切です。私も信条として、「ダメな生徒はいない。ダメな生徒と口にしたらダメな先生になってしまう」と言い聞かせています。

R:この塾の教え方は、他とはまったく違うようで、すごく面白そう。ところで先生、いつもそのような丁寧な話し方をするのですか?

N:今日は、少し緊張しているからかもしれません。でも、生徒も私もお互いに人間として対等だと思っていますから、大人に話すのとあまり変わりません。子ども扱いはしたくありません。もし、私が間違ったら堂々と指摘して下さい。パーフェクトな人はいないのですから。また、怖がったり恥ずかしがったりしないで、間違ってもいいから何でも言ってみましょう。

Q:ぼくも、英語の苦手意識、吹っ飛びそうになりました。でも、まだ自信がないので、春期無料体験授業から始まって、その後のことを決めていいですか?

N:もちろんです。春期(夏期)無料体験授業に是非、出席して下さい。

Q君もRさんも、とてもやさしい人だと思います。自分だけ勉強ができればいいというのは間違っています。できない人をバカにするのは、とんでもないことです。自分は、できるようになって、友だちに教えてあげようという気持ちのある暖かな心の持ち主になって下さい。そういう努力と優しい心の人に、運命の女神がほほ笑んでくれて、できるようになるよう助けてくれるのですよ。人の気持ちが分かるようでなくてはいけません。また、親孝行になって下さい。お父さんやお母さんを大切にね。

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とにかく努力が大切です。今日のテストの成績が悪くても次は頑張るぞという負けない気持ちです。

アンドリュー・ワイエスの「クリスティーナの世界」という、教室のあそこに飾ってある絵を見て下さい。不自由な身体であるにもかかわらず、家から大変な苦労をして家の外の世界を見たくてたまらないやせ細った少女。丘の上にある家に帰るのは、もっと大変。はいつくばりながら家に帰る姿は「ぼくも私も負けないで頑張るぞ」という気持ちにさせてくれますね。

それでは、ちょっと話が長くなりましたが、わざわざ来てくれて本当にありがとう。大切なお父さんやお母さんによろしく伝えて下さい。

I’m looking forward to seeing you in class at KIBO MIRAI JUKU.


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